財布作りの私の師匠である先代の父は、
道具に対する見立てや作成も名人級でした。
R定規や、刃物、木型など、ほぼ全てのサイズや形が揃っていて
既製品に無いものは自作します。
先代の自作品と、私が作ったオリジナルの道具の数を合わせると
間違いなく、財布作りの道具としては日本一の数です。
ですので東十条の財布工房は、さながら財布博物館のようです。
先代から受け継いで、今も気に入っている財布作りの道具に、
写真にある、大理石の作業台があります。
この大理石の硬さが力の反発を絶妙な加減にしてくれて
皮の接着が完璧にできるのです。
ただし、叩き方を、間違えると大理石の台は割れます。
叩きからの力加減や、角度にもコツが要るんです。
職人は道具が命と言えば、私が若い頃、
板前修行をしていた時期もあるのですが、
腕の良い板前はやはり、当たり前に道具を大切にしています。
私の行きつけの東十条の蕎麦茶屋「和久」も一流です。
素材の鮮度はもちろん、包丁の入れ方が違うのか、
とろけそうに美味さです。
「良い財布はと、そうでない財布の違いは・・・?」
よくそんな質問を受けますが、プロの目から見れば、
良い財布は細部まで美しく、色香が漂っています。
プロの職人の仕事は、上手い、美味いだけではダメなのです。
そこはかとない美しさがなければ、それはプロの仕事とは言えません。
ベトナムで唯一日本人が経営する
高品質・安価な財布・革小物工場
有限会社ダイヒロ
代表取締役 井戸啓晶
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